災害への備えを再考する。
昨日、3月11日は、東日本大震災から9年ということで、各地で様々な追悼の催しがあったようです。大変多くの命が失われたこの災害は、私達日本人の悲しい記憶として、今後も後代に引き継がれていくものと思われます。
今、Covid-19の影響もあって、日本だけでなく、世界中で貨物の移動が滞っている状況でしょうが、東日本大震災の様な大規模災害は、いつ来るとも知れません。そして、この震災で、或いはこれに続く福島第一原発事故の教訓から、私達は様々なことを学んだはずです。
でも、つまりBCPという言葉はそれなりに定着した感があるようでも、昨年の台風では、自家発電設備や新幹線の車両基地が水没するなど、お粗末な状況も見え隠れしています。
一方で、ICTの発展や社会基盤のIT化の急速な進展等に伴って、企業の情報資産のセキュリティは十分に高度化しつつあります。こうして、震災の教訓の横に、IT化の状況を並べてみて心配になるのは、サイバースペースがアウトになったときリアルでどうするか、ということです。
NACCSがダウンした、社内システムが使えない、回線が途切れた、そういう万一のときを、そういう状況をあらかじめ想定しているか、ということです。
輸出入通関のほぼ99%はシステム処理されている。
いま、日本の輸出入通関手続きのほぼ99%はNACCSというシステムで処理されています。万一のときの、単なる一つの例でしかありませんが、大規模災害が生じたときにNACCSが使えなくなったら輸出入申告をどうするか。
そんなの、税関が後から許可すればいいのではないか、非常事態だから柔軟に対処するだろう、通関業者が何とかするはずだ、政府の責任だ、と思ってないでしょうか。
それでも事態は進むかもしれません。でも、輸出や輸入の担当者、通関業者、保税業者、港湾事業者の皆さんは、そうなったときにどうすれば良いかをあらかじめ知っているに越したことはない、ですよね。
だから、今のうちに資料を印刷、保管しておきましょう
税関ホームページを見ると、その時にどうすれば良いか、の指針が掲載されています。今回は、名古屋税関のページを例に見ていきます。
① 税関ホームページ(→ こちら)を開きます。
② 右下の方に各税関へのバナーがあるので、名古屋税関のページ(→ こちら)を開きます。
↓
③ まず、災害発生時の連絡先を確認しておきましょう。名古屋税関ホームページの右下にある「災害発生時案内」(→こちら)を開きます。
④ すると、以下の様に、災害発生時に、電話が不通になった時の連絡、照会先が掲載されています。このページを印刷するか、メモしておきましょう。
災害時に、いつもの税関窓口の電話はつながらないかもしれません。
⑤ 次に、先ほどのホームページに戻って、さらに下方にある、「システム障害時における暫定的税関手続きについて」(→こちら)を開きます。
⑥ システム障害時における暫定取扱要領(PDF)(→こちら)を開くと、入出港手続、保税手続、輸出入通関手続等について、様々な状況を想定した処理要領を確認できます。
同時に、「別添」(→こちら)を開くと、ポンチ絵で、分かりやすく説明した資料をダウンロードできます。
こうした資料は、今から、内容を把握して、概要を理解しておくことが重要です。
また、災害時には誰が指揮をとるのか、指揮すべき者が出て来られない場合はどうするか等を決めておくと同時に、例えば、指揮者や責任者が出て来られない時に誰でも対処できるよう、日常から保管場所を共有しておく必要があります。勿論、水没しない場所に、非常用品と同じ場所に置いておくといいでしょう。
天災は誰のことも斟酌しない。
天災は忘れた頃にやって来る、かもしれず、来ないかもしれず。
業務の効率化、適正化の方策として、ICT化ばかりに目が行きがちですが、そうなら尚のこと、ICTが使えない時の備えにも気を配るべきだと考えます。
また、見方を変えれば、システムが何をしてくれているかを知っていると、システムに使われる状況に陥らなくて済むような気がします。
さらに、税関がこうして、万一のときに最も迅速かつ的確に通関手続などを処理する方法を定めている訳ですから、プロフェッショナルなら、「知らなかった。何とかして。」ではすまされないでしょう。きっと。
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