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保税地域

外航船用のコンテナは、中身とは別に通関されている

今回は、海上貨物用のコンテナの話題です。

特に、輸出入されるコンテナの「リスト通関」を中心に説明してしています。

米国西岸では実入りコンテナが沢山滞留しているらしい。

今、米国西海岸のロサンゼルス港やロングビーチ港では、沢山のコンテナ船が荷卸しの順番待ちのために滞船(Gridlock)しているようです。

NHK WORLD-JAPANの2/9付け記事「 Container gridlock delivers export chaos 」(→ こちら)によれば、原因は、やはり新型コロナウイルスですね。

この記事によれば、米国で、昨年、外出禁止令の発令に伴って、在宅勤務や巣ごもり需要が急拡大し、コンピューターやタブレット、運動用具などの大量の商品の輸入が集中したことで、港の処理能力を超えたと分析しています。

そうして、米国とアジア(中国)との間を航行するコンテナ船が足止めされ、実入りコンテナが米国の港で滞留することによって、空コンテナが減ってしまいました。

その結果、太平洋における船腹の供給量が減少し、需要を賄えないために、今年1月中旬までに、中国から北米への海上輸送費は、前年同期の3倍近くになった、としています。

また、他の物流関係紙の記事においては、現地の港湾労働者の間で新型コロナウイルス感染症の感染者が大量に発生したために、港の物流機能そのものが急激に低下したため、この様な状況になったという話もあります。

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いずれにしても、この状況は今年の3月以降まで続くことが予想されているようで、遠からず海上運賃の高騰が輸出入貨物の価格に転嫁される可能性にも言及されています。

海上コンテナは、リースされている。

さて、海上コンテナの側面や天面には船会社の社名が記載されています。

例えば、日本のコンテナ船と言えば、ONE(オーシャン ネットワーク エクスプレス:Ocean Network Express )ですが、ピンクと紫の混じったド派手な色のコンテナに、大きく白文字で「ONE」と書かれています(逆の色使いのコンテナもあります)。しかし、ONEの海上コンテナも含め、一般に、海上輸送に使用される(ドライ)コンテナは、リース会社が所有するものを船会社によって使い回されるのが一般的です。

また、こうした海上輸送用コンテナは、あくまで、輸出入貨物の容器として扱われます。つまり、日本に到着すると、荷主の倉庫などで中身を取り出し(デバンニング)して、コンテナ・プールに返却されます。

また暫くして、今度は輸出者のもとに送られ、次の中身(輸出貨物)を詰められ(バンニングされ)て、本船に積まれて外国へ出て行く、というサイクルになります。

つまり、海上輸送に利用されるコンテナそのものは再輸出を前提に輸入されるものですので、世界のどこの国においても、輸入時の関税等は免税扱いとしつつ、その輸出入の手続きも迅速かつ簡便にしたい訳です。

海上コンテナは、中身の貨物とは別に、”リスト通関”されている。

海上輸送コンテナの通関手続きを国際的に統一し、公平かつ迅速に処理することを可能とするために、「コンテナーに関する通関条約」と「国際道路運送手帳による担保の下で行う貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)」があります。

我が国も、その定めるところによって通関手続きを行っており、それが、リスト通関と言われる方式です。

輸入されるコンテナ(実入りか空かを問わず)は、中身(貨物)とは別に、卸しリスト通関され、輸出されるコンテナ(実入りか空かを問わず)は、中身(貨物)とは別に、積みリスト通関されます。

また、リスト通関されたコンテナは、輸入後に他の用途に使用されないよう管理者がきちんと台帳管理すること、輸入後1年以内に再輸出されること、が必要です。

税関ホームページに、2012年の手続きの緩和と併せて詳述されています(→ こちら)。

従って、リスト通関されたコンテナを倉庫代わりに使うことや、コンテナ・ハウスにするために売却する場合は、用途外使用として、関税及び消費税が追徴されることになるので、注意が必要です。

SOC(荷主所有のコンテナ)も、リスト通関されたら管理が必要。

一方、リース会社や船会社が所有しない、輸出入される貨物の荷主が所有するコンテナもあります。これをSOC(Shippers-own Container)と言いますが、特殊な貨物専用のコンテナとか、タンク・コンテナなどに見られます。

米国西岸にコンテナが滞留していて、空コンを入手し難い状況の中では、荷主自らコンテナを購入して商品を運ぼうという動きになるかもしれません。冒頭でご照会したNHKのNEWSサイトでも、「タイ政府が、使われていないコンテナを探したところ、約2,000本見つかった。」と、述べられています。

SOCであっても、リスト通関する場合は、コンテナ条約上の手続きとして、船会社との間の管理者変更の通知、輸入後に再輸出するまでの台帳管理、1年以内に再輸出されないことになった場合の用途外使用の届出(税金の納付)などが必要になります。

それは、SOCも、その輸入時に、輸入後は国際輸送に使うこと、1年以内に再輸出することを「条件」として関税や消費税が免税になっているからです。

従って、中古のコンテナを業者から購入して、コンテナ倉庫などに利用する方の場合は、ひも付きの(再輸出されるべき)コンテナではないかどうか、よく確認した方が良いかもしれません。念のために。

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(最終更新:2021年2月24日)

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