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EPA原産地規則

ヒトは貨物ではない、HS品目表上は。

実行関税率表は、ほぼ毎年1月1日に改まる。

今年も1月1日付けで、新しい「輸出統計品目表」と「実行関税率表」が税関ホームページに掲載されました。(URL→こちら

このうち、「実行関税率表」は、税率が改正された訳ではなく、「輸入統計品目表」の改正内容が盛り込まれたためです。その輸出入統計品目表の改正自体は、2019年11月5日付けの告示で行われていて、その適用が2020年1月1日からと定められているので、このタイミングで実行関税率表が改まる訳です。

この実行関税率表は、一般に「(ブルー)タリフ」と呼ばれ、日本関税協会発行の冊子(2019年版)では、この税表部分だけでもA4版895ページになります。試みに重さを測ってみたところ約2.8kgでした。

タリフ( Tariff )はページをめくる方が良いかも

でも、この「タリフ」は、輸入統計品目表と関税率表が合体していて、留意すべき他法令やEPA税率など、実務に必要な情報が沢山掲載されていますから、通関士等にとっては必携のツールです。

今は、IT化されて、パソコンやタブレットから税関ホームページ等を参照しても同じ内容のものを見ることが可能です。

でも、元来、品目分類の作業はタリフのあっちこっちの記述を比較して行う作業ですから、電子データではなく、ページをめくる方が効率的だと思います。

また、実務上は、自分なりの注意点や顧客の商品データ、関連する事前教示番号、税関に分類を照会した時の回答や相手などを書き込むこともあり、関係資料のコピーを貼り付けておくこともできます。

HS品目表が関税率表などの元にある

この実行関税率表も輸出統計品目表も、元は「HS品目表」ですね。これはHS条約( The International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System )の附属書です。世界税関機構(WCO:World Customs Organization )が管理していて、世界貿易の98%をカバーすると言われています。

また、このHS品目表は、貿易統計や関税率表の基になるほか、WTO関税交渉の際の基礎や、EPA協定の譲許表、EPA等の原産地規則等にも用いられる重要な品目表です。

ですから、世の中の全ての物品をそのどこかに分類することができます。

container- Frauke Feind, Pixabay
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全てのモノを分類するHS品目表で、ヒトは掲名されていない

さて、先ごろ、大型の楽器用ケースに隠れて日本から逃走した人物がいました。では、全ての品物を分類するこの「HS品目表」において、ヒトはどの番号に分類されるでしょうか。

或いは、密出国請負人なる人物は、プライベートジェットで出国する際に、手荷物として輸出しようとしたケースに入った「ヒト」を税関に輸出申告しなければならなかったか。

結論から言うと、勿論、常識的にも、ヒトは貨物ではないので、HS品目表には掲載されていません。税関への輸出申告も不要です。

税関職員が、出国時にその大型楽器ケースを検査することは法的に可能です。密輸の疑いがあれば勿論検査します。 そして、仮に中に潜む人物を発見した場合は、密出国者の疑いが極めて高いということで、入管職員に直ちに通報したでしょう。

今回、見つけられなかったのは極めて残念ですが・・・

hawker- skeeze, Pixaby
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論点のすり替えに気を付けたい

全く私個人の感想ですが、今、テレビ報道や本人が会見で述べている、出国の経緯や日本の裁判、司法制度の問題点は、本来の論点ではないように思います。

本来の論点は、裁判で争うべきであった、当人が日本で犯したとされる犯罪の成立の可否と、相応しい刑罰です。

でも、その争いが、今は、日本の法廷ではなく、世界に広がってしまった訳なので、今度は、世界中の人を裁判員とみなして、日本の検察当局は、証拠をきちんと世界中に示して、堂々とそれを立証するのが相応しいのではないでしょうか。

justice- Edward Lich, Pixabay
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