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密輸取締り

大麻(THC)は、酒やタバコより有害か。

近頃、大麻草関連の摘発事件報道が続きました。有名大学の運動部員が、学生寮内で大麻を使用していたとか、会社員が大麻を自宅で栽培していたなど。

大麻の主成分である、THC(テトラヒドロカンナビノール)とは。

大麻は、「マリファナ」という呼称が一般的です。ほかに、「あさ」、「くさ」、「はっぱ」、「グラス」などとも呼ばれます。

日本では、大麻取締法で、輸出入が禁止されています。また、栽培や所持には特別な免許が必要です。

突然ですが、皆さんは、THCと聞いて、何を思い浮かべますか? 

通関業者にTHCとは何かを問えば、Terminal Handling Charge ですよね。

外国から到着したコンテナを、港のコンテナヤードなどで移動させる等の手数料としてArrival Notice等に記載されています。結構お高い。

でも、税関職員に同じ質問をすれば、何人かは、Tetra-Hydro-Cannabinol(テトラヒドロカンナビノール) と答えるでしょう。

この場合のTHCは、大麻の主成分で、それ自体、麻薬及び向精神薬取締法に定める向精神薬でもあります。

THCは、薬効として、快楽、幻覚、鎮静、抗不安、鎮痛の作用があるとされています。(→ 「大麻の危険性」(京都大学大学院薬学研究科生体機能解析学分野、2018年9月))

また、幻覚作用、記憶への影響、学習能力低下等をもたらす、とも指摘されています。(→ 「今、大麻が危ない。」(厚生労相省HP))

これらの(信用性の高い)資料を見ると分かるように、(THCを含有する)大麻は、覚醒剤やMDMA、コカインのような、いわゆる「気分が高揚する」クスリではありません。

むしろ、「気分を落ち着かせる」クスリ、鎮静剤のような薬効をもたらします。だから、大麻は医療用(鎮痛、抗不安薬)にも使用されています。

【2024年12月12日追記:本稿は、大麻が関税法上の輸入(出)してはならない貨物であることから、その主要な成分(THC:テトラヒドロカンナビロール)について私見を述べたものです。大麻は、2024年12月12日から、大麻取締法の対象から除かれ、麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」の一つとして規制されており、国内の規制がやや強化されているので、ご注意ください。特に、後述するCBD(カンナビジオール)を含む美容オイルやサプリメント、お酒等の輸出入には注意が必要です。詳細は、厚生労働省のホームページ(⇒『令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます』をご参照ください。)

大麻の所持を合法とする国もあるけれど。

一方、欧州の一部の国、米国の一部の州などでは、少量の使用を自由に認めています。

中でも、オランダの「大麻フェスティバル(The Cannabis Cup、カンナビス・カップ)」は有名ですね。大麻の品評会が開かれ、世界中から「良品」を求めて愛好家が集まるそうです。

amsterdam-Michael Bubmann, pixabay
Amsterdam-Michael Bubmann, pixabay

また、大麻は、同じ様な効果のある「アヘン(阿片)」や「ヘロイン」、「モルフィネ」ほど強力ではないこともあってか、気軽に手を出す人がいます。

さらに、大麻は、天然でも散見されるほど栽培が容易で、収穫してから製品にするまで、あまり手間もかからず、精製なども不要なので、自分で栽培するとか、売って儲けようとする輩も後を絶ちません。闇市場でもお手頃な値段で取引きされているようです。

大麻クッキー、大麻ケーキ、大麻キャンデーも密輸される。

外国から密輸入される大麻は、映画の中に出てくるような「先を捩じった紙巻たばこ」の形のものは稀です。

だいたい、数百グラムを様々な大きさの立方体に圧縮した「圧縮大麻」の形が一般的ですが、中には、大麻クッキーや大麻ケーキ、大麻キャンデー、大麻チョコレートなどに加工したものもあります。

こうした形のものは、郵便や小口貨物が多く、比較的少量ですが、「圧縮大麻」の形で、大量に密輸されるケースも後を絶ちません。

何にせよ、大麻は紛れもなく「不正薬物」というジャンルに入ります。

問題は大麻の「依存性」です。

私は、大麻の依存性には、個人差があるのではないかと思っています。使用した大麻のTHCの量にもよるでしょうが、使う人の体質や精神的背景、生活環境によって、依存性は異なるのではないでしょうか。

また、同じ人でも、そのときの精神状態や健康状態などによって効果は違うように思えます。

依存性が問題だとして。

依存する対象が何であれ、例えば、それがお酒でも、タバコでも、ギャンブルでも、ゲームでも、SNSでも、何かに依存できることで他の何かの苦しみや痛みを軽減できるなら、人は容易く依存してしまいます。

この依存対象は、他に、買い物でも、ゲームでも、異性でも、仕事でも、野良猫でも、庭に来る鳩でも、何でもありです。

依存は逃避と180度で対を成します。

on-the-street-Лечение Наркомании, Pixabay
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要は、大麻に限らず、「依存性」が問題なのです。

つまり、例えば、酒を飲んだ状態で車を運転して事故を起こす、酩酊して暴力事件を起こす、急性アルコール中毒で死に至る、タバコの吸いすぎで肺がんになる、受動喫煙で家族を肺がんにする、ギャンブル依存症や買い物依存症で生活が破綻する、というケースは、事故や事件が犯罪になるほかは、大抵、自己責任で処理されますが、これらを大麻の害毒と比較することは意味がありません。

大麻の毒性と依存性が違法性につながる。

大麻とTHCに立証された健康被害因子があることと、その依存性の高さが、日本での違法性につながるのだと考えます。

一頃、社会に深刻な影響を及ぼした危険ドラッグは、今は「指定薬物」として規制されています。その主成分である「合成カンナビノイド」は、THCと同じ作用を人の脳にもたらすものです。(→ 「危険ドラッグ(合成カンナビノイド)」(DAPC))

そして、その狂気と危険性は、皆さんが既にご承知のとおりです。

「酒やたばこが合法なら、大麻も禁止すべきではない。」という考え方と、「大麻が非合法なのだから、酒もたばこも禁止すべきだ。」という考え方は、どちらもナンセンスの部類かと。

ちなみに、大麻の成分で、THCとは別のCBD(カンナビジオール)という物質があります。こちらも医療用等に用いられるように特定の薬効がありますが、完全に合法です。

また、大麻の種(実)も、大麻取締法の対象からは除外されています。

一般的な七味唐辛子には、麻(大麻)の実とケシ(芥子)の実が入っています。麻は大麻草の種子であり、芥子にも阿片(アヘン)や麻薬の原料になる種類があります。

ただ、貿易や通関関係者ならご承知のとおり、芥子の種子と大麻の種子は、外為法(輸入貿易管理令 →「輸入公表」(経済産業省))で規制がかかっており、発芽しないよう処理されたもの以外は輸入できない仕組みになっています。

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(最終更新:2024年12月12日)

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