architecture- Dimitris Vetsikas, Pixabay

密輸取締り

EC、ネットショップでニセモノ(偽物と偽者)をどう見分けるか

ネット環境にはニセモノがいっぱい隠れている

今、COVID-19感染防止のために、日本全体で「Stay Home」が推奨されています。

一方、海外旅行などは、もう随分前から難しくなっていて、高級品を扱うデパートやブランドショップなどは営業自粛で閉まっており、普段の「買い物は3日に1回にしてほしい」とされています。

そうした中では、インターネットなどの EC ( electronic commerce :電子商取引)で欲しい物を探そうという方も多いと思います。

しかし、例えば、ネット経由でようやく手に入れた中国製のマスクに異物が混入していたとか、プロ仕様の医療用ガウンやフェイスシールドでさえ不良品だったという、モノとしての基本的な機能がお粗末な、つまり「ニセモノ」が、私達の生活空間に急速に流入して来ています。

海外から入って来るニセモノといえば “プラダ“ や “ヴィトン” などの、いわゆる「偽ブランド品」を思い浮かべるかもしれません。

マスクと高級ブランド品を横並びで考えるのは無理がありますが、税関で輸入が差し止められたニセモノの中には、ニセモノの内服薬やニセモノの化粧用具など、私達の健康に直接的に悪影響を及ぼすモノが、実際にあります。

今回は、そうしたニセモノに関する事例や情報サイトなどを、いくつかご紹介することで、EC(電子取引)で、皆さんが「ニセモノ」(偽物)を掴まされない、「ニセモノ」(偽者)から買わないことに、少しでもお役に立てれば良いと思います。

税関の知的財産侵害物品の差止めの状況を知る

税関では、毎年2回、半年間と1年間の偽ブランド品等の押収状況を公表しています。直近では、本年3月6日に、財務省ホームページにおいて、「令和元年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」(→ こちら)として公表されています。

【 以下、今回の記事中のニセモノの写真は、全てこの発表資料から転載しています。】

① 輸入差止めが多い物品(一部抜粋)

その概要をご紹介すると、2019年の1年間に全国の税関で輸入が差し止められたニセモノ、つまり「知的財産を侵害する物品」は、約24,000件。数量は100万点を超えています。

このニセモノを本物に換算すると、約128億円相当になります。

税関が差し止めた“ニセモノ”を、輸出国(地域)別に見ると、件数ベースでは、中国が約83%、香港が約4%で、合わせると、「ニセモノのほぼ9割が中国から」ということになります。

点数ベースでは、中国が約58%、台湾が約19%、韓国が約13%となっています。

② 令和元年に差止めが増加した物品(一部)

これを品目別に見ると、件数ベースで、多い方から

  1. バッグ類(約37%)
  2. 衣類(約23%)
  3. 靴類(約8%)
  4. スマホやスマホケースなど(約7%)
  5. 時計(約5%)

の順で、点数ベースでは、多い方から

  1. CD、DVD(約30%)
  2. 紙の製品(約10%)
  3. 電気製品(約7%)
  4. 衣類(約5%)
  5. コンピューター製品(約3%)

の順となりました。

これらのニセモノについて、次は輸入方法から見てみましょう。件数ベースでは、国際郵便の利用が約9割で、一般の商業貨物で入ったのが約1割なのに対し、点数ベースでは逆に、一般貨物が約82%、国際郵便が約18%でした。

つまり、外国から日本の消費者に直接送られてくるニセモノは、中国から、バッグや衣類、靴、時計などの有名ブランド品やスマホの関連品が多いと推測されます。

一方、DVD等のニセモノ、電気製品のニセモノは、一旦、商業ベースで輸入されて、国内の業者から消費者に販売されていると言えるようです。

③ 健康や安全を脅かす危険性のある物品(一部)

ECサイトで買う場合でも、一般的に、「中国のお店から直接買うのは、ちょっと信頼性に心配があるから、日本のお店から買う。」という人は多いと思います。

でも、ECサイトからの購入で、国内の店から買ったつもりでも、実質は外国の店の出店であるケース(偽者)があるので、サイト内の記事の日本語が不自然ではないかといった点に着目して判断するなど、十分な注意が必要です。

輸入差止の申立てが提出されている品物の一覧表をチェック

また、税関ホームページからは、「ニセモノが輸入されないように、輸入差止めの申立てがなされている品物などの状況」(→ こちら)も見ることができます。かなりの量の種類、品物になりますが、今現在の日本に侵入しているニセモノの状況を知ることができます。

これを見ると、有名ブランドのバッグや時計など以外にも、例えば、子どもたちが遊ぶ列車と線路のおもちゃとか、Jリーグのマーク「八咫烏」の付いたタオルやキーホルダー、ドラえもんの文具セット、国内有名メーカーの点火プラグなど、意外なものが結構目に付きます。こちらもぜひ見ておいて欲しいと思います。

④ 告発事例 商標権を侵害する充電用ケーブル等の密輸入事犯を告発

ユニオン・デ・ファブリカンのサイトでニセモノを学ぶ

さらに、世界中で偽ブランド品などの取締りに協力している民間組織「ユニオン・デ・ファブリカン」(UDF)があります。

「ユニオン・デ・ファブリカン」では、ホームページ(→ こちら)で様々な事例を紹介しています。

ニセモノ(偽者)はどういう手口で私達を騙しているか、ニセモノ(偽物)はどうやって見分けることができるかを、わかりやすく紹介してくれています。

このサイトから、少しだけ、最近の「偽造品の動向」や「偽ブランドのタイプ」のページを要約して、以下に転載しますが、できれば実際にサイトを覗いて欲しいと思います。

☆ オークションでの時計の偽造品に注意

 インターネットオークションでは、高額の時計を通常の価格より少し安いという微妙な価格で出品し、落札後に偽造品を送ってくるという詐欺行為が横行している。

☆ SNSを使った偽造品販売や外部サイトへの誘導に注意

 フリマアプリは特に注意が必要だが、SNSを使用した偽造品販売も増加している。SNSからインターネットオークションへの誘導、或いはフリマアプリへの誘導の後、「専用出品」として偽造品を売買するなどの手口が広がっている。

また、オークションの出品をすぐに削除するとか、商品画像から外部のSNSに誘導するなど、手口が巧妙化している。

☆ 偽ブランドには大きく分けて2種類ある

一つ目は、「一見してニセモノを分かるもの」で、売る方も買う方もニセモノと承知していることが多く、ネットオークションでも「レプリカ」として販売される。値段はかなり安い(本物の60%~90%引き)。縫製や素材が悪いのでひと目でニセモノと分かる。本物にはない商品やデザインがある。

二つ目は、「一見しただけではニセモノとは分からないもの」で、買う方が本物と思って買うモノであり、売る方も場合によって本物だと思うことがあるほど、本物に似せて作られている。値段は本物より少し安い程度(本物の10%~30%引き)。ディスカウントショップやインポートショップで販売される。偽造の保証書や箱も付いている。

ぜひ、実際の「ユニオン・デ・ファブリカン」のサイト(→ こちら)をご覧になって、ニセモノを見分ける目を備えた上で、ECでの買い物を行っていただきたいと思います。

holiday-shopping-Photo Mix, Pixabay
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こうした「ニセモノ」は、特にネット通販等で購入する場合は、手にとって確かめ手から買うということができません。

また、スマホやパソコンで買うことが多いので、誰かと一緒に、相談しながら買うのも難しく、「残りわずか」とか、急かされることもあるでしょう。

でも、例えば、ECで欲しい物を見つけても、本物(メーカー等)のサイトで、一度ホンモノを確かめてから判断するなど、私達自身がニセモノを見分ける目を養って、自分や家族の身は自分達で守るという姿勢が重要だと思います。

ブランド(知的財産)は私達のモノを買うときの判断基準

今さらですが、ニセモノとは、「知的財産」を侵害する物品のことです。

「知的財産」は、商標権(有名ブランドを含むあらゆるブランド)、著作権(アニメ等のキャラクターなど)、意匠権(形や色の組合せなど)、特許権(新規の発明品)などの種類があります。

知的財産という言葉は、やや “もったいぶった” 印象があって、「特権的」とか「排他的」というイメージがあるかもしれません。

でも、例えば商標権について、私なりに付け加えれば、有名ブランドのバッグや靴、時計などに限らず、身の回りのあらゆるものにはブランドがあります。

皆さんは高級品に限らず、日用品等を買うときも、その品質を推し量る、品定めをするときに、その品物のブランドを拠りどころにする、ブランドを信用して買う場合も多いと思います。

だから、私達にとって、商標権に限らず、世の中の知的財産が正しく機能していることは、とても大切なことなのです。

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